獣か・・・?それとも新手の”武器”使いか・・・?

まずこの早さで走れる人間はまず並みじゃない。

俺は、一也をその辺に投げ捨てて身構える。

「・・・誰だッ!出てきやがれェ!」

俺はとにかく叫ぶ。
何者だか知らねぇけど・・・嵜崎よりかマシだろう。




「待て!風道!動くなッ!」

「シン!?」

大きな鎌を振り回しながら、シンが森林の上空から飛び降りてくる。



シュン!

森林の中、まだ何かが俺達を包むように回っている。
・・・なんだコイツは・・・。


「・・・おい、シン。何が居るのか分かるか?」

「女だ。」

「・・・女だァ!?」

「・・・だが、並みの人間と考えるな。奴は・・・ヤバイぞ。」


目を猫のように冷たく光らせたシンは、鎌を上段に構える。


「来るぞっ!」


シンがそう叫んだ瞬間から一拍おいた刹那に、黒い影が森の奥から飛んできた。
・・・なんだ!?


「『アシッドレイン』!!」

俺は迎撃に『アシッドレイン』を放つ。
もうそろそろ水圧は消防車の放水並みにはなったか?


なんとか水圧で押し飛ばそうとするが、減速するのみで全く弾けない。


・・・いや、水が巻き込まれている!?


「くぅっ!!」


俺は放水を止めて、ランダートで横に避けた。
体育の授業はまともに受けてんだ、俺。

・・・なんて言っている暇は無い。
今の黒い砲弾のようなものを放った人物が、雑木林の中から出てくるぞ・・・!


「『グラヴィティ・モンブラン』!!」

可憐な叫び声が聞こえたかと思うと、暇を置かずに異変が起こる。


地面がグニャリと歪み、重力が急に強くなる。
身体が地面にたたきつけられ、視界が万華鏡のように錯視する。


「ぐおっ!?」

「・・・なんだこれは・・・。」

おいシン、よくこんな重力の中立ってられるよな・・・。
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