「―――――っぁぁああああっ!?」
ガタン!
エリーは、胸をごつごつと硬い何かに抑えつけられた。
寝ぼけた目をなんとか開くと、くすんだネイビーブルーが目前に広がった。
太腿と肩に鋭い痛みを感じる。
あぁ、ここは現実か。エリーは一瞬安心したが、夢より現実のほうが酷な状況なのだと思いだして、もう一度眠りに就こうとした。
シュゥィーーーン・・・。
胸に触れている堅いものが、身体を揺さぶった。変な音がした。聞き覚えがある。
「・・・何?」
未だに乾き、霞んだ目ではぼんやりとしか見えない。
手で胸の前を探ると、これまた堅く、冷たいものに触れた。
シュゥィーーーン・・・。
聞き覚えのある音が、また胸元で発された。
同時に、胸にかかった力が消えた。
「ぅうー・・・ん?」
未だに睡眠を訴える身体を叱咤し、毛布をどけて上体を起こした。
夕暮れの光が、すすけたネイビーブルーの壁を赤く染めている。
・・・?・・・いや、血だ。
ここは簡易住居の医療部だ。
良く見ると簡易住居の壁は穴だらけで、床には大量の銃弾と薬莢が転がっている。
さっき音がした方に目を向けると、赤と白の無機質な輝きがぼんやりと見えた。
シュゥィーーーン・・・。
シュゥィーーーン・・・。
シュゥィーーーン・・・。
それは、ゆっくりと三歩後ずさりした。
紅白に塗り分けられた人型の二足歩行マシーン。
胸と見受けられる部分に「HEAVEN」と刻まれている。
さっきからの音。
流体パルスシリンダーの音だった。
「・・・。」
「・・・。」
「・・・。」
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