世間はダウナー、俺はアッパーな6月が過ぎ、あれよあれよと7月に突入していた。
そろそろ頃合いと言うように、声を合わせて大合唱をまき散らす蝉達を尻目に、俺は学校へ向かう道をたどっている。
俺の頭の中は今、ミノタウロスの宮殿のように入り組み、複雑化していた。
さっさとこんなめんどくさい事から解放されたいと思わんでもないが、今はそんな悠長な事を言ってる場合でもない。
あぁ、俺のアリアドネは何処・・・。
そんなことも頭の隅で考えていながら、俺は結構余裕の無い精神状況に陥っているようだ。
物凄く頭が痛い。
何故に俺がこんな頭を悩ませてんのかというと・・・。
あの日の後、卜部が行方不明になったのだ。
次へ
s.1
やめる