「食事の時間だ。テーブルに座りたまえ。」


この部屋に1つだけ付いたスピーカーから、博士の声が聞こえてきた。

床に固定されたテーブルの脇に、食事の搬入口がある。
僕が肌色と白以外の色を見ることができるのはこの時間のみ。


クッションから腰をあげて、テーブルに向かう。

その間に、搬入口から食事が出てきた。とってもおいしそうだ。

色鮮やかなサラダに、綺麗な赤のケチャップの乗ったオムライス。コーンスープの黄色も・・・。
特にコーヒーの茶色と黒の混じった色は最高だ。



・・・。



うん。美味い。
とってもおいしい。

これは僕がこの部屋に入ってから何度目の食事なんだろう。
確か期間は4ヶ月。


こんな実験、つい最近までは人道的な問題で出来なかった実験だ。
その記念すべき第1号。



「あっ・・・!」



がつがつと食事をむさぼっていたら、誤ってコーヒーをこぼしてしまった。
幸いほとんど飲み干していたので、2,3適こぼしただけで済んだが・・・。

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