「あっ!あのときのおにーちゃん!」


「ゲホッ・・・ゲホッ・・・恒彦君・・・?」

「大丈夫かシオン?」

「・・・なんとか・・・。」


恒彦は今までとは雰囲気が変わっていた。
深い影を落とした表情は、全てを悟った風でもあり、その瞳の奥はとてつもなく深い青に染まっている。

長くボサボサだった髪も、後ろで短くまとめている。


「ほう・・・まさか・・・生きていらっしゃってたのですか?・・・フェルグスが持ってきてましたよねぇ・・・あなたの生首。」

「死んださ。出血が酷くてな・・・。」


恒彦は、嘲笑の笑みを浮かべる。


「だが、俺の肉体がどうなろうとも俺には関係ないということに気がついた・・・。」

「・・・?・・・どういうことだか理解に苦しみますがね。」
吹雪は、依然余裕の表情だ。


「おい恒彦・・・げほっ!・・・何があったのか知らんが『ウィンドシェイバー』じゃ勝てない・・・奴は無敵だ!」

「上等だよ。」

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