鳴り響く非常警報と、赤く染まる工場。

「何だ?」

「また誤作動だろ?」

「でもなんか音したよな…。」

「敵襲!敵襲ーっ!」

にわかに混乱に陥れられた工場は、まさにパニックだった。

「アサルト!寮を襲え!…ダンサーは武器庫を抑えろ!」

「「了解」」


「いいからなんか武器もってこい!」

「こいつだろ!?」

「おい!9番装甲はどこに置いた!」

「知るか!」

「ちげぇよ!それは…」

「うわっ!」

「ごぶ…!」

「いいから使え!」

「これだよこれこれ!」

「それは3番の戦車だろが!」


もう、何が何だか分からず、指揮系統のまるで機能していない工場は、たった3人の隊員にもてあそばれていた。

四方に手榴弾を投げつけるもの、逃げまどうもの、銃を乱射するもの…。
哀れを通り越して辛い。

「醜態をさらすな!」

俺はバズーカを広場と工場にぶち込み、無線で味方の戦闘状況を探る。


「占領状況は!」

「クリアです!」

「こっちもでさぁ!」

「…上等!」

俺は、ウィングのロケットブースターをもう一度点火して、空へ飛翔した。
先程の衝突のおかげで羽ももがれ、エンジンもせき込むが、ブースターさえ使えればいい。


バシュッ!


一瞬爆発した推進剤が、ブースターから排出されると同時に、俺は空へ飛びあがっていた。

「ファイヤ!」
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