私は五十嵐 美香。

小学校6年生の12歳。

今は冬休みだが、これといってすることもないため、家でゲームをしているところだ。
外では雪が降っていて、外出するのも億劫になる寒さだ。


ピンポン♪


玄関のチャイムが鳴った。誰か来るとは聞いてないから宅配便か何かだろう。
「はーい。」
私は2階の部屋から出て、階段を急ぎ足で下って玄関へ向かった。

ガチャン…

「…!?」

目の前に立っていたのはみすぼらしいボロボロの布をまとい、薄汚れた作業服のような服を着た見知らぬ青年だった。

「すいやせん、申し訳ないが、1晩寝床と食べ物を恵んでくれませんかねぇ。」
まるでゴマをするような喋り方だ。

「あの…どちら様?」

「あぁ、すいやせん。自分はしがない旅人でさぁ。名前は龍っていいやす。」
布に隠れて表情がなかなかうかがえないが、笑ったようである。

私はすこし胡乱だったが、この寒い中を歩いてきたと思うと断るのが申し訳なくて、とりあえず家に入れることにした。
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