むしっとした空気が頬をなでる。
熱い。
俺は身体を起こし、周りを見渡した。
青い空…
走る車…
舗装された道路…
立ち並ぶ木々…
どう見ても俺たちが今までいた世界だ。
「気がついたか。」
不意に三郎太が後ろで言った。
「あ、あぁ。ここがフェンリル・ドームか?俺たちのいる世界と何ら変わりないが…」
「フェンリルは地獄に住み着く。つまり、ここが地獄だ。俺らが住んでる世界は地獄と変わりねぇってことだよ。」
俺はそんなにあれを苦痛とは思ってなかったが。
「意外だな、俺には退屈で退屈でしょうがないように見えたが。」
それと苦痛は違うと思うが。
「それよりほかの奴らはどこだ?」
見回しても奴らの姿が見当たらない。
まさかはぐれたか?
「いや、その心配はない。先に来てる仲間の家にいる。」
そりゃあよかった。
俺と三郎太はその家へ向かった。
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