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豊玉発句集 木曽掛橋

更新日:2012-04-03 15:11:00

  <雪>
おもしろき夜着の列や今朝の雪

横に行足跡はなし朝の雪

朝雪の盛りを知らず伝馬町

井伊公
ふりながら消ゆる雪あり上已こそ

春ははるきのふの雪も今日は解


  <月>
三日月の水の底照る春の雨

水の北山の南や春の月

山門を見越して見ゆる春の月

公用に出て行みちや春の月

あばら屋に寝て居てさむし春の月


  <花>
白牡丹月夜月夜に染めてほし

露のふる先にのぼるや稲の花

人の世のものとは見へぬ梅の花

我年も花に咲れて尚古し

年々に折られて梅のすがた哉

菜の花のすだれに登る朝日かな

二三輪はつ花だけはとりはやす

咲ぶりに寒けは見へず梅の花

岡に居て呑むのも今日の花見哉

梅の花一輪咲てもうめはうめ

武蔵野やつよふ出てくる花見酒

梅の花咲るしだけにさいてちる


  <水>
さしむかふ心は清き水かがみ

水音に添てききけり川千鳥

玉川に鮎つり来るや彼岸かな

春雨や客を返して客に行

来た人にもらひあくびや春の雨


  <人>
裏表なきは君子の扇かな

手のひらを硯にやせん春の山

春の草五色までは覚えけり

しれば迷ひしなければ迷はぬ恋の道

  しれば迷ひしらねば迷ふ法の道

願ふ事あるかも知らず火取虫

年礼に出て行空やとんびたこ

暖かなかき根のそばやいかとほり

今日も今日たこのうなりや夕げせん

うぐひすやはたきの音もつひやめる

朧ともいはで春立つ年の内

朝茶呑てそちこちすれば霞けり

春の夜はむづかしからぬ噺かな





 横川秋月

飽かず見む 横川の波に 澄む月の
          影も散りなむ 秋の山水

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 徳音晩鐘

山寺は 外ともわかず 程遠き
          ふもとに響く 入り相の鐘

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 掛橋朝霞

立ちわたる あしたの雲も 色深き
          霞にこむる 木曽の掛け橋

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 御嶽暮雪
 
嵐吹く 夕べの雲の 絶え間より
          みたけの雪ぞ 空に寒けき

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 駒嶽夕照

駒の岳 晴るゝ夕日に 見る雪の
          光も寒く まがふ白雲

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 寝覚夜雨

仮枕 寝覚めの床の 山風も 
よ わ
          雨になりゆく 夜半の寂しさ

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 小野瀑布

白妙に 見る一筋は 手作りの
          それかとまがふ をのゝ滝つ瀬

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 風越晴嵐

明けわたる 光も見えて 風越の
          高根晴れゆく 夜の浮雲