カメリア
「おはようカメリア」
殺風景な部屋の中央にいる、カメリアと呼ばれた赤髪の女性に向けて、男は微笑みかける。
カメリアは、なにも返さない。
「あぁ、君は今日も綺麗だね。…おや、どうして泣いているんだい。君には涙は似合わないよ」
カメリアの目から零れ落ちた涙を、男は指で拭う。
カメリアは、なにも答えない。
「うん、やっぱり君には笑顔が1番だ」
そういうと、男は優しい手つきで、カメリアの頬を撫でる。
そう、まるで、壊れ物を触るような手つきで。
カメリアは、黙ったままだ。
「あぁ、愛しいカメリア。僕だけのカメリア。僕たちはずっと一緒だ」
そっと口付けをすると、「また後で来るよ」とだけ伝え、男は部屋を去っていった。
カメリアは、なにも喋れない。
終わり
カメリア
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