夏色金魚3〔完〕
「わっ?」
大きな音に、私はびっくりして体を震わせた。
それを見て、またシュウヤが笑う。
このまま、私のこと好きになってくれればいいのに…
そう思って、シュウヤの笑っている顔を見ていた時だった。
「おい、シュウヤ、こんなとこで何してんだよー」
とおくのほうから、男の人が走ってきてシュウヤの肩を掴んだ。
「ユウト…。」
「お前がマイゾノさんとお近づきになりたいって言うから祭りに誘ったのによー。肝心なお前がいねーんだもん。
マイゾノさんとられちまうぞ!」
「…マイゾノさんってだれ?」
私がシュウヤに尋ねると、シュウヤではなくユウトと呼ばれた人が答えた。
「シュウヤが片思いしてる先輩!すっげー綺麗で可愛くてなんでもできるんだ!」
「ユウト、やめ…」
…シュウヤの耳がまるで、金魚の朱のように染まっていた。
それが、空に咲いた大輪の花の色だったら、どんなによかっただろうか。
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夏色金魚3〔完〕
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