漆黒のヘキサグラム・純白のペンタグラム外伝 人狼編最終話


 漆黒のヘキサグラム・純白のペンタグラム外伝 ~人狼編~

  最終話 「幻魔戦争・前哨戦」



◇最強


「こんだけ殺しても、まだ足りねェ……チクショウ!!」

 マグナクルスの両手には、鮮血が滴る。

 背後にはうずたかく盛られた幻獣たちの残骸。

 その頂上には――数分前まで七歯舞 明日香“だった”はずの肉片が散りばめられていた。

 戦うことに未来を求めた彼女の走馬灯は、今となっては誰も知らない。



 殺戮者の瞳はすでに血走っていた。

 頬に残る返り血を舌なめずる。

「まだ、残ってたのか……」

 マグナクルスの他に、たっている者が一人いた。

 夕闇が太陽を追い詰める茜空を背景にしていで立つ様は、何か格の違いさえも感じさせる。住む世界が違うかのような別次元
の存在。

 しかしマグナクルスはその“頂点”をただの残飯か何かとしか見ていなかった。

「あの化け狼には逃げられるしよォ、ちょうど口直し(デザート)みてぇなモンが欲しかったんだぜ」

 お互い、悠然と構える。

 いやマグナクルスだけが構えていた。相手は戦意すらないようにも見える。

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