漆黒のヘキサグラム・純白のペンタグラム外伝 人狼編6


漆黒のヘキサグラム・純白のペンタグラム外伝 ~人狼編~

 第六話「角砂糖と蟻」



◇7月10日

 それは突然やってきた。

 森のツリーハウス、早朝の静けさをやぶって――。



ずずずーーーーーーっ……。

コトっ。

 ひとまず湯呑が卓袱台に置かれる。

「……日本の茶、うまい……」

「はははは、クレールはいつも赤いほうのお茶ばかり飲んでたからね~」

 などと、客人は雑談を交わしていた。

 空気はいたって平凡。

 ただ異端者を認めるものにとっては、この空気こそ異質であった。

 紫乃はそんな中の一人。耐えかねて、口を挟んだのだった。

「あの、どちら様で?」

 客人である二人はきょとん、とした顔つきになる。

 あぁどうしたことか、ついうっかりそれを忘れていた~とでも言いたげなように。


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