漆黒のヘキサグラム・純白のペンタグラム外伝 人狼編4


漆黒のヘキサグラム・純白のペンタグラム外伝 ~人狼編~

 第四話「哀れなる人形」



◇7月6日

 村のお祭り「御鶏祭」が差し迫った前日。

 ツリーハウスに急な来客があった。

 パラウド達だった。

「毎日毎日、いい年をした少年少女が一つ屋根の下でイチャイチャしてるなんてけしからんのです」

「ぶ、ぶふーーーッ!!!!」

 思わず口にしていたお茶を噴出してしまう。

 すかさず紫乃は手短な雑巾で床を拭う。

「でもあながち間違いでもないでしょう?」

「ちょ、ちょっと! 明夏羽まで何を言ってるんですか……!」

「そ……そうですよ! 哀斜君と私はそんな関係じゃありません! 友達です」

 僕と紫乃はお互いに必死で弁明したものの、その様子はパラウド達を余計に愉しませただけだった。

 ……いつか復讐してやりたい……。

 そんな恨念を知ることの無いパラウド。

 僕の睨む視線をさらりとかわして、話を本題へ移した。

「まぁ笑い事ではないことがとうとうこの村でも起こってしまったのです」

 ”この村で起こった”


 それを聞いた辺りから部屋の空気が一変した。
 ツリーハウス特有の木目の壁の温かみが冷酷に感じられるほど、張り詰めた空気へと。

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