俺は毎朝、ヘッドフォンをして通学路を歩く
が、別に音楽が好きな訳じゃない
むしろ、大嫌いだ

俺に歌うことはできないし、
そもそも歌いたい気持ちになんかならない
なのに、テレビでよく見るアイドルは、
楽しそうな素振りで甘ったるい歌を歌ってみせる

本当に、くだらない

だからいつだって、
ヘッドフォンに本来の役割をさせる気はない
周りの雑音を遮るだけが役目だ

下駄箱に辿り着き、上履きを引っ張り出した
人ごみを避け、教室を目指す
いつもの毎日。どうでもいい、毎日


俺、『雨野 響』は教室のドアを開いた
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太陽の声 s.1
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