ストライド―――――――――6人1チームで街を駆け抜けるエクストリームスポーツである。


 コースは、街中に設置される。

 チームは6人1組で、そのうち5人がランナーで、1人がリレーショナー。

 ランナーは、1人当たり400メートルほどの持ち区間を全力で駆け抜け、リレーショナーの指示でハイタッチを交わし、交代。
 勝ち負けは他のリレー競技と同じく、先にゴールしたほうが勝ちである。

 リレーショナーというのは、コースやその時のランナーの調子により5人の走順を決めたり、ランナーの走りを見て、スタートの指示をする。





 憂宮高校ストライド部。部員はちょうど6名。

 3年ランナー、桃園孝知(ももぞのこうち)先輩、柚木夏樹(ゆぎなつき)先輩。
 2年ランナー、永倉舞人(ながくらまいと)先輩、樫茂望(かしものぞむ)先輩。
 1年ランナー、三郷翔(みさとしょう)くん。
 そして1年リレーショナーの私、神崎芽久(かんざきめぐ)。

 顧問は物理の幸村先生。
 スポンサーは幸村先生の両親の経営するホテルグループ。

 超弱小ですが、日々頑張っています!

 そして今日は、強豪、未芳学園との試合の日だった。

 これに勝てば、スポンサーから、部費を増やしていただけるとのお話が!
 未だ敗戦続きなので、そろそろなんとか勝ちたいと思っていたからちょうどいい。


 今は、三芳くんが第五区間を走っている。

 三芳くんは、いつも、本気を出さない。
 なんだか、全てに飽きちゃっているような人。
 でも、今日は、皆で約束したんだ。

『三芳が本気ださねぇなら、俺らもださねぇ』

 そう言ったのは柚木先輩。

 桃園先輩、樫茂先輩もそれに賛同し、永倉先輩は、困ったように笑ってた。

『仕方ないっすね……出せばいいんでしょ?』
『ああ…………お前が本気を出せば、永倉もやりやすくなる。勝ちは、すぐ目の前だ』
 
 そう、そう言ってもいいくらい、本気の三芳くんは、速いのだ。


「あとはお互い、祈るだけだね」

 隣にいた未芳学園のリレーショナーが言う。

「そうですね」

 タブレットを見ると、3秒の差も縮まり、2人はほぼ並んだ状態で走っていた。

 ゴールまで、あと100メートル。

 私は、三郷くんを信じるしかない。

 ぐっと、タブレットを握りしめた。

 その瞬間、三郷くんが、一歩リードした。

「!」
「!?」

 第5区間はブロックが多かった気がする。三郷くんはブロックの多い道は得意じゃない。それなのに、頑張ってくれている。
 


「頑張れ、三郷くん!!!!」



 私の届かないと分かっている叫びと同時に






 ―――――――――――――――――――――高い音とともに、ゴールが告げられた。











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