◆最終章:子代、親代より継がれしもの
◇1600年9月15日
浅野 松陰は空を振り仰いだ。
刀の握り心地は、今日に限って抜群にいい。
殺伐とした雰囲気が立ち込める本陣だったが、彼はなぜか胸の奥が透いたような心持だった。
彼は今日、仇の御首を上げることになる。
仇の名は、天下の太閤・豊臣秀吉だった。
彼は今日も空を見上げて言う。
「父上、母上。天よりご覧になっておられますか。松風は今日もいってまいります」と。
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【小説】厄之神:最終章「子代、親代より継がれしもの」【著:ジャトゥー】 s.1
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