◆第二章:少女の想ひ



◇1578年8月8日

「ん……あっ」

 あれ。

 いつの間に寝てしまったのだろう。

「起きたか?」

 優しげに、私を気遣うふうな声。

 この声は。

「……厄神、どこにいるの」

 眼に映るのは見慣れたボロ天井。

 黒い少年は見当たらない。
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【小説】厄之神:第二章「少女の想ひ」【著:ジャトゥー】 s.1
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