ひかりは僕に何を見せたいのかものすごく気になる。

ちょっとのぞいてみ――――

「覗いちゃダメですよ?」

ようとなんて絶対思ってない

今ドアを開こうとしてやめたのはひかりの声がものすごく怖かったからとかそんなんじゃない

楽しみにしなきゃいけないからという思いからだ



それから5分が経過して



「入っていいですよ」



ひかりの入室許可が降りたにより、僕は再び病室へと戻る

そこで待っていたのは

「似合います・・・・・・かね?」

真紅のチャイナドレス姿のひかりだった

正確に言うとチャイナドレスというより、寝巻きみたいなものなんだけど

「う・・・・・うん! 似合う! 似合うよ! ひかり」

「本当ですか!? よかったです・・・・・・・。似合ってないって言われたらどうしようかと・・・・・」

「そんなわけないよ! かなり似合ってる! っていうかちょっとドキドキしてるよ!」

「ありがとうございます。栄司君。そこまで言われるとてれちゃいます」

「でも、いったいどうしたの?」

「実は父が彼氏の前でいつまでも寝巻き姿でいるわけにもいかないだろうって買ってきてくれたんです」

「いや、彼氏って・・・・・・・」

「ちがうんですか?」

「え?」

「栄司君は私のこと、嫌いなんですか?」

「え、いやそんなことないよ!」

「ちょっと・・・・・・・悲しいです・・・・・・」

「いや、僕はひかりのことを嫌ってなんかいないよ! むしろ大好きだよ!」

そういうとひかりは悲しそうな表情を一瞬でニコッとさせて

「はい。私も栄治君のことが大好きです」

「・・・・・・・」

なんか、ものすごく恥ずかしい・・・・・・。こんなノリで人生初の告白・・・・・・。

「あ、栄司君照れてます。かわいいですよ」

「ひ、ひかりぃ~」

「あははっ」

なんだかものすごく遊ばれてる気がする

恥ずかしさをまぎらわすために話題を変えよう・・・・・・・

「そういえば、普段あんまり触れなかったことだけどひかりって普段の寝巻きも赤っぽい色だよね?」

「はい。私、赤色が大好きなんです。なんていうか、生きようって気持ちになれるんですよ」

「あぁ~確かに・・・・・」

「で、栄司君はどちらを書きたいですか?」

「どちらって?」

「新しい寝巻きと古い寝巻きの私。どちらを書きたいですか?」

「う~ん。悩むなぁ」

どっちも、いい感じだからなぁ

「昔のほうが書きやすかったけど、今のほうがかわいいから僕はチャイナの方を書こうかな」

「それって栄司君の趣味じゃないですよね?」

「ぐっ・・・・・・」

ちょっと当たってるかも知れない・・・・・・

「うん・・・・・。まぁ・・・・・・・」

「だったらうれしいです。栄司君に気に入られたって事ですから」

「うん。あ、赤い絵の具が切れているや。チャイナ服の柄かけたら買ってこなきゃ」

あははと、ひかりは初めてであった時のイメージからは想像できないほど明るい笑顔で笑った

次へ

s.1
やめる